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浦和地方裁判所 平成6年(行ウ)10号 判決

埼玉県岩槻市太田二丁目一〇番一〇号

原告

鈴木眞吾

同県春日部市大沼二丁目一二-一一

被告

春日部税務署長 大川要

右指定代理人

松村玲子

高野博

川名克也

高橋伯吉

武内信義

佐野友幸

高橋義則

齊藤清幸

主文

一  本件訴えをいずれも却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

一  原告は、

1  被告が原告に対し平成五年一月五日付けでした異議申立棄却決定を取り消す。

2  被告は、原告に対し、金七五一万四七〇〇円に対する昭和六三年七月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求め、その請求の原因として、別紙「請求の原因」のとおり主張した。

二  被告は、主文同旨の判決を求め、その理由として、次のとおり主張した。

1  異議申立棄却決定の取消を求める訴えについて

(一)  行政事件訴訟法八条は、処分の取消しの訴えについて行政庁に不服申立てをすることができる場合でも、原則として、直ちに処分取消しの訴えを提起できるものと規定しながら、そのただし書において、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでないと規定している。

一方、国税通則法一一五条は、国税に関する法律に基づく処分で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えにつき、原則として、所定の不服申立手続を経なければこれを提起することができない(不服申立前置主義)と規定し、その手続につき、同法七五条三項ないし六項は、第一段階として処分者たる税務署長等に対する異議申立てをし、さらに、その異議申立てに対する決定を経た後の処分になお不服があるときは、第二段階の不服申立てとして、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができると規定している。しかし、国税に関する法律に基づく処分のすべてについて不服申立てができるわけではなく、同法七六条において、右不服申立てができない処分を限定列挙し、同条一号は、「この節又は行政不服審査法の規定による処分その他前条の規定による不服申立てについてした処分」は同法七五条の国税に関する法律に基づく処分に含まれないと規定している。よって、不服申立てについてした処分については、更に不服申立てをすることができないのであるから、異議申立てについてした処分(異議決定)についても当然不服申立てはできないことになる。したがって、異議申立てについてした処分(異議決定)は同法一一五条及び行政事件訴訟法八条ただし書に規定のある不服申立前置の対象とはならない。

(二)  国税に関する法律に基づく処分の取消しを求める訴えについての出訴期間について、行政事件訴訟法一四条一項は、取消訴訟は処分又は裁決のあったことを知った日から三か月以内に提起しなければならないと規定している。ただし、同法八条一項ただし書に規定されているとおり、裁決を経た後でなければ訴えを提起できない場合においては、同法一四条四項が適用されることになる。つまり、同法同条四項の規定は、同条一項の例外規定で同法八条のただし書に対応する出訴期間を定めたものであることになる。

原告が取消しを求める、被告が原告に対し平成五年一月五日付けでした異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件異議申立棄却決定」という。)は、前記(一)のとおり、行政事件訴訟法八条ただし書及び国税通則法一一五条規定の不服申立前置の対象とならない処分であるから、行政事件訴訟法一四条四項は適用されず、同条一項が適用されることになる。

そうすると、本件異議申立棄却決定の取消を求める訴えは、処分又は裁決のあったことを知った日から三か月以内に提起しなければならないところ、原告が本件異議申立棄却決定のあったことを知った日は右決定の謄本が原告に送達された平成五年一月七日であると認められるから、平成六年五月二日に提起された本件訴えは、出訴期間経過後に提起された不適法なものであるから、却下すべきである。

なお、本件異議申立棄却決定の決定書には、後記原告の反論にあるような注意書が記載されているけれども、不服申立てができる「この決定を経た後の処分」とは、右注意書の表現上、平成四年一〇月二六日付けでされた昭和五九年分の所得税に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分のことであって、本件異議申立棄却決定を指すものでないことは明らかである。

2  被告に対し金員の支払を求める訴えについて

請求の趣旨第二項の訴えは行政庁としての春日部税務署長に対する金員の支払を求める民事訴訟であると解されるところ、行政庁としての春日部税務署長は、私法上の権利主体たりうる資格を有しないから、民事訴訟において当事者能力を有しない。よって、請求の趣旨第二項の訴えは不適法であるから、却下すべきである。

三  原告は、被告の主張に対し、次のとおり反論した。

1  国税通則法一一五条は、国税に関する法律に基づく処分(八〇条二項(行政不服審査法との関係)に規定する処分を除く。)で不服申立てのできるものの取消しを求める訴えは、異議申立てをすることができる処分(審査請求のできるもの(異議申立てについての決定を経た後審査請求をすることができるものを含む。)を除く。)にあっては異議申立てについての決定を、審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ、提起することができないと定められているところ、本件異議申立棄却決定の決定書には「この決定を経た後の処分に不服があるときは、この決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して一月以内に国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。」と記載されている。

2  原告は、平成五年一月七日に本件異議申立棄却決定の決定書謄本の送達を受け、同月一九日に国税不服審判所長に対して審査請求をしたところ、国税不服審判所長は、平成六年二月二一日付けで右請求を棄却する旨の裁決をし、原告は、同月二七日ころ右判決書を受け取った。

3  そして、原告は本件取消訴訟を平成六年五月二日に提起したから、本件取消訴訟は行政事件訴訟法一四条の定める出訴期間内に提起されたものである。

四  証拠関係は本件記録中の「書証目録」のとおりであるからこれを引用する。

五  当裁判所の判断

1  本件異議申立棄却決定の取消を求める訴えについて

(一)  国税通則法によれば、国税に関する法律に基づく処分に対する異議申立てにつき税務署長がした決定は、同法七五条一項一号に掲げる不服申立てに対してした決定(同法八三条)として同法七六条一号の「この節の規定による処分」に該当するから、これに対しては、更に審査請求等の不服申立てをすることができないものである。ちなみに同法七五条三項には、「当該異議申立てをした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる」と規定されているが、右規定にいう「処分」とは文理上異議申立ての対象となった処分(原処分)を意味し、異議申立てについて税務署長がした決定自体を審査請求の対象とするものではない。

したがって、国税に関する法律に基づく処分に対する異議申立てについて税務署長がした決定の取消しを求める訴えは、行政事件訴訟法三条三項の「裁決の取消しの訴え」に該当し、税務署長が誤って審査請求ができると教示した場合を除き、異議申立てについての決定があったことを知った日から三か月以内に提起しなければならず、右決定の日から一年を経過したときは、提起することができない(同法一四条一項、三項)。

(二)  被告が平成五年一月五日に本件異議申立棄却決定をしたことは当事者間に争いがなく、原告が同年一月七日に右決定の送達を受けたことは、原告の自認するところであり、原告が、平成六年五月二日に「被告が原告に対し、昭和六〇年三月一五日付けでなした、確定申告税、源泉所得税及び延滞加算税に関する決定はこれを取り消す。」との判決を求める訴訟を当裁判所に提起し、同年七月一八日の本訴第一回口頭弁論期日において右請求を本件異議申立棄却決定の取消請求に変更したことは、当裁判所に顕著である。

したがって、本件異議申立棄却決定の取消を求める訴えは、行政事件訴訟法一四条一項に定める出訴期間の末日に当たる平成五年四月七日の徒過後に提出されたことは明らかである。

なお、本件異議申立棄却決定の決定書に、「この決定を経た後の処分に不服があるときは、この決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して一月以内に国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。」との記載があることは、当事者間に争いがないところ、右文書は、前記国税通則法七五条三項の規定と同じであるから、右「この決定を経た後の処分」とは、原処分(本件では更正の請求について更正をすべき理由がない旨の通知処分)を指し、したがって、右決定書の記載は、原処分についての不服申立てに関するものであることは明らかであって、本件異議申立棄却決定に対して審査請求ができるとの誤った教示をしたものではない。そして、他に春日部税務署長が本件異議申立棄却決定について審査請求ができるとの誤った教示をしたと認めるに足りる証拠はない。

2  金銭の支払を求める訴えについて

右訴えは金銭の支払を求める民事訴訟でありながら、行政機関である春日部税務署長を被告とするものである。しかしながら行政機関である春日部税務署長は私法上の権利能力はないから、民事訴訟における当事者能力も有しない。したがって、右訴えは不適法である。

3  よって、本件訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大喜多啓光 裁判官 高橋祥子 裁判官 中川正充)

別紙

請求の原因

左記の(三)国税通則法第二十三、2の一に関して被告の法令違反及、左記の(四)国税通則法、第二十四条に関する法令違反についての立証方は左記の(二)~(四)の各項記載の通りである。

(一) 被告の原処分庁、春日部税務署長に原告が平成四年一〇月十五日付でした、昭和五九年分所得税の更正の請求に対し、平成四年十月二六日付で右の春日部税務署長より、右の更正請求について、「その更正をすべき理由がないと認められますので通知します」との通知書を受取り、原告はこれを不服として平成四年一〇月二九日に右署長宛に異議申立てをし、それに対し、右署長は平成五年一月五日付で、棄却の異議決定をした。それに対し、原告は不服として、平成五年一月十九日に関東信越国税不服審判所に審査請求をした。

右の審査請求に対し、平成六年二月二一日付で裁決書を同年二月二七日頃受取り、その裁決書主文「審査請求を棄却する」との裁決内容であるので御庁に提訴する。

(二) 当事件に関する左記の事件

平成三年(ネ)第二五九三号慰謝料請求控訴事件

(原審浦和地方裁判所平成元年(ワ)第一一六五号)

右の控訴事件判決文「第二当事者の主張」の5を次の通り記載引用する。

5、同六枚目裏五、六行目の「(店舗兼居宅)」を削り、六行目の「料理店」を「料理学校」に、一〇行目の「支払いを受ける代わりに」を支払いを受け(ただし、うち四〇〇〇万円については既に同年九月二二日成立した合意に基づき同年九月二七日と同年一〇月十七日に二〇〇〇万円あて支払済みであり、残金一六〇〇万円についてのみ建物の明渡しと引き換えに支払いを受けるものである。)」に、末行の「右五六〇〇万円」から 同七枚目表三行目の、「そのためには」までを「右の五六〇〇万円については、控訴人は、被控訴人の指導に従い、営業補償金、立退料等の名目で支払いを受けることにしたが、被控訴人や被控訴人の子息山本重夫からは、併せて、税金の関係で四、五年間は妻の名義でも料理教室を経営することはできない、また、」に同七枚目表、五行目の「早速、」から一〇行目の「その後、」までを「料理教室を再開することは断念し、新たに越谷市内に土地付建物を求め、料理店を開くこととした。そして昭和五九年分の所得税の確定申告に当たっては、右の五六〇〇万円について、被控訴人の指導どおり営業補償金、立退料等として申告をした。しかし被控訴人の右指導は誤りであり、長期譲渡所得の課税の特例(分離課税)や特定の事業用資産の買替えの特例が適用されるべきものであった。ところが、被控訴人は、右の各特例の適用を受けるために必要な教示を行わなかっただけでなく、自分は前記確定申告に無関係であるとの態度をとった。このため」にそれぞれ改める。

右の記載内容が、右控訴事件、判決文、第二当事者の主張の5の記載内容である。

尚右文面の控訴人は当事件の原告であり、被控訴人は被告の元所得税第一課長の山本光作税理士である。

(三) 国税通則法第二十三条二の一の被告の法令違反について

「その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。」により、その事業が当該計算の基礎としたところを異なることが確定したとき、その確定した日の翌日から起算して二月以内

(1) 右(三)の国税通則法第二十三条2の一について同右(二)の平成三年(ネ)第二五三号慰謝料等請求控訴事件の判決文、第二当事者の主張の5に該当する。

右の件について原告は平成四年五月十八日春日部税務署にて(午前十時~午後一時頃の話し合いに資産税課長及総務中沢課長補佐との話し合いで同法は認められないと話されたのは違法である。

これに関連して、平成四年九月二八日付で、春日部税務署長殿に国税通則法、違法につき面会申立書を提出したが、面会出来なかった。(春日部税務署に提出した資料15)

左記の(四)、(1)、(2)、(4)、(5)、(6)、(8)、(11)、(12)、(14)、(15)、の会話内容は昭和六三年一月十八日に被告の春日部税務署所得税課、竹川課長が話された内容である。(平成四年十月二九日春日部税務署に「電話会話内容記載録提出書」と題する綴を提出済、同時に「違法行為に対し見解相違に対する回答申立書」と題する書面を春日部税務署長殿宛に提出」

山本光作税理士に被告の春日部税務署で原告の昭和五九年度の確定申告の是正、手続の依頼するのは筋違いであり、被告が自から進んで是正する事が責務である。

(2) 前項第二の(一)の国税不服審判所の裁決書の二枚目を記載する。

1 事実

「審査請求人(以下「請求人」という。)は日本料理店を営む者であるが、昭和五九年分の所得税について、青色申告書による確定申告書に次表の「確定申告」欄のとおり記載した上、これを法定申告期限までに原処分庁に提出した。」

同裁決書の五枚目3判断、(1)に「当審判所が請求人の提出資料及原処分関係資料を調査したところ、次の事実が認められる。」と記載されているが、春日部税務署に更正請求書類提出資料として、次の1、2を提出した。

全資料提出1~26のその1、2は左記の通りである。

(左記の提出1~26は春日部税務署、関東信越国税不服審判所に提出番号)

資料1、東京高等裁判所、平成三年(ネ)第二五九三号

判決書

資料2、東京高等裁判所、平成三年八月十二日付提出

準備書面

右の資料1、2は平成四年十月十五日付で更正請求資料及理由申立書を被告の春日部税務署に提出した。

前項、第二の(二)、控訴事件、判決文、第二当事者の主張の5に記載されている通り、立退料に関しての当時の仕事は料理学校を経営していた時の立退料であり、右の(2)の国税不服審判所の判決書の記載の右1の事実、「日本料理店を営む者であるが」と記載されているが、前項第二の(二)の当事者の主張5の記載内容の通りである。

(「被控訴人や被控訴人の子息山本重夫からは、併せて、税金の関係で四、五年は妻の名義でも料理教室を経営することはできない。」等と指導を受けたので料理教室経営を断念したのであり、日本料理店を継続していたのではない。その違いは税制の解釈の相違が生じる。

(四) 国税通則法、第二十四条に関する法令違反について

右同法、税務署長は、納税申告書の提出があった場合においてその納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。

(1) 春日部税務署及関東信越国税不服審判所に提出した資料を基に事実関係を立証する(資料1~26提出)

(2) 右の(1)の資料25「昭和六一年版税法便覧」の枠抜した二枚綴、二枚目、赤印、還付金等の消滅時効

「還付金等に係る国に対する請求権は、その請求することができる日から五年間行使しないことによって、時効により消滅する(国税通則法七四)

「原告は継続して行使している。」

(3) 右(1)の提出資料24「新税理士法要説」の抜粋した二枚目

4、税務書類の監査について

(赤印中頃記載分は次の通りである。)

「しかしながら、申告書の適否は行政上税務官公署がこれを判断し、もしそれが適正でないときは税務官公署がこれを是正することとされているのであるから、税務官公署以外の者にこのような地位を認めることは合理的とは考えられない。」右の様に記載されている。

(4) 右(3)の「………もうそれが適正でないときは税務官公署がこれを是正することとされているのであるから」について被告が次の理由(イ)~(ホ)の理由により自から進んで是正すべきものを怠っている事は前項(四)の同法二十四条に関する違法である。

(イ) 昭和六十三年六月十日付、春日部税務署長、鮎澤五春殿に内容証明郵便、「異議申立書」の途中より次の事を抜粋し記載する。

「五十九年度の所得税について、私は当初より、今迄春日部税務署に対し、経過を説明して来ましたが、納税者の私には納得出来ない不審感が春日部税務署に対し蓄積しております。

例を上げると、春日部税務署、所得税課の竹川氏は、五十九年度の所得税は、和解調書に元づいて算定したと言い、私に対し、分かるような税額の計算をして提出しなさいと言い、一方の総務の手塚氏は減額請求期間はなく、増額の期間は七年位まであると言われました。この件について、国税庁の税務相談の坂田氏は(昭和六十三年五月十六日)減額審査請求は五年と説明されました。

又、山本光作税理士は、私に対して五十九年度の確定申告は、春日部税務署の当日受付されて計算をされた担当者の責任だと何回となく言っております。私に対しても当日受付された担当の方も計算が終った時に、もう少し時間があればなんとかなると私に言いました。」

右の当日受付された担当の方とは右の五十九年度の確定申告を法定申告期限の昭和六十年三月十五日で山本光作税理士が、右年度の計算されたメモ等のコピーを取られて、もう少し時間があればなんとかなると私に言った事はその時点で、前項(四)、及四の(3)に該当する事である。(当日担当された方が計算が終ってからわざわざ原告と妻を二階の総務課長席の脇の応接用テーブルに案内し、山本光作税理士の件について説明した所、対応した人が山本光作税理士の事を一光さんか」と愛称で呼んでいた)。

前項(二)の判決文、第二当事者の主張5に記載されている通り、被控訴人(山本光作税理士)の指導の誤りを知って是正しないのは前項(四)、同法第二十四条違反である。

右の「異議申立書」は前項(二)の乙、第十三号証及前項(四)の(1)に提出した資料20である。

(ロ) 昭和六三年一月十八日春日部税務署所得税課、竹川課長と原告(鈴木真吾)電話で会話した時の右、竹川課長が話された内容の一部「和解調書を一番上にもって来たと言う分けでないですけどね……一番上にもって来たと言う分けでないですけどね……一番上にもって来たと言う分けでないんですけどね、あのー計算だとね……結局あの裁判所の和解調書がですね……今迄やって来てそれでもって皆んな、ぱあーになる様なですね………ようするにそうでしょう、今迄すったもんだがあったんでしろ……あのその和解調書でね、最後の契約でこれで行く言うことでね……あの計算してあるものですからね」等と話されている。

右の会話の件について、前項(二)の控訴事件、判決文、第二当事者の主張の5に記載されている通り、立退料五六〇〇万円の内、同年九月二二日成立した合意に基づき同年九月二七日と同年一〇月十七日に、二〇〇〇万円あて支払済みであり、残金一六〇〇万円についてのみ建物の明渡しと引き換えに支払いを受けるものである。)」と記載されている通りであり、越谷簡易裁判所の和解調書は昭和五九年一〇月十二日付で右の残金一六〇〇万円についてのみ建物の明渡しと引き換えに支払いを受けるものである。

山本光作税理士が作成された合意契約書が昭和五九年九月二二日であり右所得税課長の話されている「和解調書を一番上にもって来たと言う分けでないですけどね……、裁判所の和解調書がですね……今迄やって来てそれでもって皆んな、ぱあーになる様なですね……」等と話されている事は山本光作税理士の指導の誤りを知っていた事であり、被告は前項(四)に基づけば自から是正すべきである。

(ハ) 前項(ロ)の竹川課長の会話の続き

(1) 「向う様と契約してですね……現在に至ったですね……経過とかですね、それから金額的に表わしたもの……とかですね……そう言う事でね……、出していただかないとですね、……又、結果は同じ様な事の繰り返しになると思うんですよ、……その辺をですね、……はっきりさせて頂いた方が良ろしいんじゃないかと思うんですよね。」

(2) 「別に税理士のね、……肩を持っているとかね、……あるいわ税理士を庇っているとか、そう言う、……あれじゃ、……ないですからね、……やっぱりどこでどう間違ったのか、……そう言う、……事も決めてですね、……あのきちっとした、格好でね、あのー、お出しなれば、これも私しははっきり申し上げられないだけど……」、

(3) 「内容が分らない、内容の検討は、こちらの所得税の方でやる話しですので、こないだ申しあげた様にあれだとね、まあ、この前、何回も話したんだけどほれ、あまりにも和解調書の当初の内容があまりにもこうきっちりしているし一番あの、いま迄のいろいろの物事のあった事ですね、一番最後の締めくくりとして出されているもんですからね、それにほう従うざるにないし、また、あの裁判所のあの考え方をですよ余程、効力ある、何かでない……そうすると、いくらこちらで署長が判断する事は判断する事ですけど、私達も署長の補佐役的な……あれですね」

(4) 「あのですね、あのだから今申上げているのはですね、今……あ解決してですね、あのように、なんて言うですか、和解調書を基準にですね、税務署の結局考え方と言うのですか、それでは出来ませんと言う回答を鈴木さんにお上げした分けなんですよ」

(5) 「あの取り上げる様なあの本当のあのですね、お宅の方の嘆願の主旨はなんであるか……その主旨に従った場合で、こう言う計算になるんですよとね、そう言うふうな事でないとね、……あの、これもある、これもある、これも皆んな読んでですね、それで、あの、この書類見て皆んな読んでくれれば、私の希望通りなるんだと言うんだと、あなたの考えですけどね」

(6) 「だからね、結局ね、お宅の方から……書類上ではね、その私の方ではね、やっぱり、只、あのそうものの出されてですね、あの間違っている所があればなおしてくれとそう言ういい方だとね、やっぱりほれ、裁判所のほれ和解調書が一番新しいものであるしね、今迄の事は全部これでもってですね、相手とですね……それに基づいて相手といろいろのあの接触とか相手とですね、交渉とかこう言う事の考えが立つ分けですね」。

(7) 「あのそう言う事は、あく迄に署長に対しての嘆願ですね、……あの税務署の方でね……お宅の方で申告がどうか、間違っていたらそれをですね、……それをなおすとかですね、これはこうなるとか言ってですね、あのきたもので、税務が、あの上級処分的なしたのを税務署がしたものであれば、……それに対して何らかの答を出さなければならない。あの只、これを検討すると言った場合、あの只検討するして検討して何にもなければ、何にもないでそれは言いですけどね、それでは、あんまり、失礼に当るんでないかと言う考えね、……これは、あー、動議的な問題です、法律的な問題でなく、……、動議的な問題でね……それではやっぱり、何らかの格好で通知で連絡しないとやっぱり困るんじゃないかと言う事で私はあのご連絡した分けなんですよね。」

(8) 「何かねですね、お宅の方で……そこまで言う必要がなかったんでしょうけどね、実はですね、これは違うんだからそれを直す様なですね、……これを直す様なものがあったらそれでもって言ったんですがね、」

(9) あーすれこうすれ……出て来た書類のですね、今迄お宅の方から今迄出て来た書類について、あの、こちらの方の見解では、和解調書を基にしてですね、税務署としてはですね、せっかくのお申出についてこれは出来ませんとね、そう言う回答ですけどね、……そうすると、あんたの方でもね、何かこう、ふにおちないと言うのかですね、……それでと言う事でね、あの考えている、いらっしゃる事であったらね、まあー、私の方でもちょっと余計な事かも知れないけど、……あの、あの内容迄細かく話してね、それで、あの和解調書が、で、をー、それを和解調書をです」。

(10) 私の所得税のさー、計算うんぬんの問題でなくてさ、……そう言う事になればです、いいか悪いかとなればそれはやっぱり、あの窓口、総務課長とかね、そう言う事になってあのまあ、税理士の問題とかですね、いろいろの問題でね、それだけ明らかになったものですよ。

私の方へくるとなれば話は別ですよ、……ね、ですから私の方では、この前、何回も話した様に、……あのーあのー前にお宅の方からうちに来ていた受付した書類関係についてあれ、検討した結果ですね、やっぱり、あの、今出ているやっぱり書類とか、一番最終的なものとかそう言う観点からね、……あの計算して行けば、……ですね、あの結局、契約がどうのこうの言ってですね、最終的には、これも全部含めてですね、……あの、これらのあった事を出すね、みんな承知の上で、あのあれでしょ、和解調書の通りの取り引きになったと言う事なんですね、……私の聞いているのは、それ迄なんですよ、本当言ってね、」

(11) 「それですからね、そうでないと言う事のさー、ようするにこの前の和解調書の基づいた書類の出し方でなくてね、それは、和解調書には、こう書いてあるけどね、実際はこうこうである言うふうな、和解調書を越す様な物を何かあって私しこの前そう言ったんですよね。」

(12) 「明快でないんですよ、……、こないだの一件は一件で落着……、それでね新にですね、じゃこれで違うんだと言う事になればね、今度またお宅の方でですね、そのあの、あの、和解調書を基にした所じゃなくてさ、実際の所のあれを出すね、取り引きとかですね、そう言うものを出すんですね、きちんと書いた物のをさ、出して請求するべき物なんですね、………………、私は口頭で分ったからと行ってもね、何もないものに対してですね、……こうすれ、ああすれでないですから、…………、それは私もですね、聞いたけどその話しは、……この間お答えした申上げたさ、結果とは全然別だからさ、……、だからもう一度何か出して頂いた上でね、それを検討するとか、そう言う事に出来ると思うですよね。

だからそうにもしなければなかなか解決しないんじゃないですか。

私は本当はね、鈴木さんね、余計な事かもしれないけど、ここ迄申上げたのね、本当はね、只、言いぱなしでさ、……これはこうで、和解調書で計算してあるんで、……あのもういちょうは、これで終りなんですとそう言えば、かいって良かったかも知れませんけど……、あのちっとね、それではね、……それではと、只、補足申上げたんで、あと今度、鈴木さんの方でもさ、まあ、私が言った様な事をさ、基づいたものでさ、和解調書を基にするんじゃなくてさ、実際はこうだったと、和解調書はこうでこうだったんだったけど、実際はこうで計算もこうなりますとかね、そう言う事でしないとね。」

(13) 計算に基になるね、経過とかねですね、経過とかですね、金額とかねそう言うものをね、もうちょっとですね、きちんと出してもらいたいと言う事なんですよね。………じゃお宅の方でですね、何にもしないで只、ばらばらでもね、何でもいっぺんに、また十ぺんに、又百ぺんに出してやっても、これは極端な話ですけどね。……これを出したからといって税務署では、税務署で全部組立てて計算しなければならないだとね、……そう言うふうにおっしゃるのでは、税務署の方でかわいそうですよ。」。

(14) 「それは持っていますよ、持っていますよ、経過を営業補償になるのか、分けが分らない見たいなもの、分け分からない、ちょっと失礼な面もあるけどね、……、この間言った様にね見たいにね、あれはあれでしょう、何んだかんだと言った事を出すね、これで行きましょうとあなた達、あなたも良しとしてね、それで和解調書作ったんで、それから税務署に出してある申告書もね、……実はあなた達さー、あの計算してね、……それであの出して来たものでね、……。税務署の方で決定したものとか、更生したものとか、そう言う種類でないだからさ、……只もう一度分る様にね、……持って来て頂けないのー、いや……そこ迄しか言えないね、」

(15) それはね、あなたが、分る分る、それで分らなければプロでないとおっしゃっていますがね、……、そこ迄、こちらの方であのやるあれでない、させるようにして下さいよ、させる様にね、検討させる様、……、……、……、いや検討させる様にして頂きたいんですよ、」

(16) 「あなたの思い通りに行かないので歯痒い面もあると思いますけど、私の方としてもしょうがない分けね」

右以上の「 」内は、前項(ロ)の春日部税務署所得税課、竹川課長の話された一部であり、その内容は前項(三)の国税通則法第二十三条二の一に当てはまる。

(ニ) 右同じく前項(四)、同法第二十四条に該当する事であり、春日部税務署、被告の同法に対する不作為であり法令違反である。

(ホ) 昭和六十一年三月中頃、春日部税務署に行き、特別国税徴収官佐藤氏に口頭で山本光作税理士が行った行為に対し、この様な条件では昭和五十九年分の税金を納める事が出来ないと、口頭で説明した所、右の佐藤氏は、山本光作税理士の指導された事と、課税された金額とは関係ないので、岩槻市の法律相談の弁護士に相談に行った方が良いと、アドバイスがあり、前項(四)の(4)の(イ)に記載されている通り、昭和六十年三月十五日、春日部税務署の受付された方が、もう少し時間があればなんとかなると話されている事は前項(四)、同法第二十四条の法令違反である。前項第二の(二)の控訴事件乙、第六一号証、前項(四)の(3)に記載されている通りであり、春日部税務署の特別徴収官は、岩槻市の法律相談に行って弁護士の先生に相談に行った方が良いと話された理由は推測であるが、税理士法第四七条(懲戒の手続等)に関して助言されたと思われる。

課税が適正でないときは、税務官公署がこれを是正するのが責務である。

以上

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